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第3章 モノづくり指向の産業
第3節 事業所
第2項 事業所の新設・廃止 ─多い長期継続の事業所─
富山県では事業所の新設・廃止とも相対的に少なく、長期間継続している事業所が多い。
(1) 事業所数の増減
近年、事業所数は大きく減少している。
かつては分散居住型の富山で過剰にあった小売の減少が専ら目立っていたが、現在では、建設、製造も同様に大幅に減少している。
こうした中で、産業大分類では、医療・福祉が大きく増加している。これは人口の高齢化の中で介護の需要が増加しているためであるが、社会保障の負担が厳しくなってきており、その抑制・削減が模索されている(中分類での医療の事業所数は変化していない。)。
また、農林業でも増加が見られるが、これは農業で組織化が進められている結果である。
⇒2014年センサスでの説明
(2) 事業所の新設・廃止
2012年〜2014年7月の新設事業所及数び廃止事業所数の比率について、富山県は双方とも低い率となっている。
新設事業所比率の高いのは、神奈川、大阪、兵庫、地方中枢都市(札仙広福)所在道県と九州の各県などであり、中部・関東の諸県などは低い。
これらの地域は、活性化しているというより、新設事業所比率の高い業種が相対的に多いということのようだ。
廃止事業所比率の高い地域は、概ね新設事業所比率の高い地域に対応している。なお、東京も高くなっている。
(3) 開設時期別事業所の分布
富山の事業所について、開設時期毎の年当たり開設事業所数構成比を見ると、リーマンショックの影響のある2008年、2009年を除いて近年ほど増えている業種は、情報通信業、医療・福祉、宿泊・飲食サービス業などとなっている。運輸・郵便業は、'00年代後半に多数設立されているが、それ以降は少なくなっている。卸売・小売業も近年ほど増えており、概ね全産業の分布と重なっている。
これらに対して、建設業、製造業はバブル景気の1990年前後の方が、近年より大きくなっている。
富山の事業所は、全産業で、他地域と比べて開設年次の相対的に古いものが多い。
製造業のみを取り上げても、相対的に古いものが多い。
全産業の事業所従業者のそれぞれが属する事業所の開設年次別分布も概ね事業所数の分布と似たものとなっている。つまり富山の従業者は相対的に古くからある事業所に勤めているといえる。
製造業の事業所従業者も事業所数の分布と同様ではあるが、2000年代開設の事業所に勤める者は特に少ない。
相対的に古い事業所が多いことをどう評価するか。
新しいものが少ない、つまり新たな事業展開が少ないということで否定的に評価するか。それとも安定した経営をしているということで肯定的に評価するか。
これは、ここでの統計だけでは判断できない。企業・事業所内で新機軸を積極的に取り入れ事業展開しておれば、それなりに評価される。筆者は、富山の企業の強さは、この点にあると考えているのだが如何であろうか。
(統計データ)
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(Nov.25,2016Rev./Dec.17,2013)
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