参考 2019年末牛種別景気動向
以下では、富山県の主要な業種が、多様な環境条件の下で、どのような状況にあるか整理する。 |
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(制度的要因) 行政施策の関連としては、新幹線の開通が温泉宿泊、ホテルなど関連観光関連事業に盛り上がりをもたらしたが、この効果は一段落したようでもある。 長期的には、公共事業の削減が建設業に低迷をもたらしているが、しばらくは景気浮揚策の下で小康状態が見られそうである。ただし、現下の財政状況の中で、極めて厳しい経路をたどっていることに留意が必要である。 医薬品製造については、国内外での規制動向に首尾よく対応しOEM生産を伸ばし、あるいは保険制度の改正により後発医薬品(ジェネリック)で成果を挙げている企業がある。ただし、医療費抑制のための制度改革の中で、陰りが出ているようでもある。これに伴い容器包装等で好調な企業もある。他方、エコ製品への政策的支援により家電の販売が、また相続税対策としての住宅建設が一時的には盛り上がったが、効果も曖昧なものとなってきている。 働き方改革の気運は、省力化投資を招き、情報サービスに好影響を与えているようである。 (人口変動要因) 人口減少は経済活動全体に大きな影響を与えており、特に小売業販売額などは、直接影響がでている。ただし、長引く景気低迷の中での安定期にあって、とりあえずは、小康状態にある。少子化については教育関連産業に影響を与えているだろう。 住宅建設については、相続税対策等様々な政策展開の中で一時的な盛り上が見られることもあるが、基調としては、縮小に向かっている。ちなみに住宅建築需要をもたらす結婚世帯形成期の世代は、1990年代半ばに団塊ジュニア世代を超え減少し続けている。こうした動きの影響は、アルミ建材など、広範な業種までに繋がっている。ただし、リフォーム等の需要に積極的に対応し、長期的な活路を探っている企業もある。 他方、高齢化に伴い高齢者の需要する医薬品などの製品が長期的に有望となっている。また、これまで産業動向では殆ど言及されてこなかったが、介護関連産業などの需要の拡大も大きい。ただし、資金的な課題とともに、そこで働くスタッフの待遇の悪さが、順調な拡大を妨げている。 (消費行動要因) 消費者の行動については、所得の停滞・減少とともに、雇用情勢の不安定化、混乱の中で所得格差の拡大もあり、安価指向と高級化指向の消費行動の二極化が外食産業や小売業にあるとされており、一部に高級路線の兆しが見られるようである。 しかし、省エネを指向した自動車・家電等に関連しては、一時的には、消費が拡大していたが、現在、その効果は見えなくなりつつある。 旧来の消費行動に対応した業態から脱皮できない業種として伝統産業としての高岡銅器が挙げられる。ただし、新たな商品・サービス開発に挑んでいる企業もある。 (技術要因) 技術革新を伴うものでは、、デジタル家電、電子部品、さらに化学薬品が、一時は動いていたが、現在は国際競争の中で厳しい局面に入っている。 プラスチック成形についてもはかばかしくない。 (国際要因) 米中貿易摩擦は、多くの業種に不安を投げかけている。 日韓摩擦については、訪日観光客の激減をもたらし、関連事業に厳しい影響をあたえている。 (生産サービスの外注要因) 企業間競争は引き続き厳しいが、減産・販売不振の中で、アウトソーシング等は低調となり、停滞気味で推移している。また人材派遣業、請負(業態は不明確)は急速に縮小した。これは働き方改革の気運の高まりの影響もあるのだろう。 (業界内競合要因) 同業種企業間の競合については、いずれの業種にも見られ、特に運輸業では総需要減少の中での競合で一層厳しい環境となっているが、消費の若干の盛り上がりの中で、新たな需要を掴んでいる企業も見られる。需要の減退の中での競合で経営を一層厳しくしている。小売店についても新たな業態の新規大型店の開店があり、業界を取巻く環境が厳しいことはいうまでもない。 (Dec.08,2019Rev.) |