コロナ禍での製造業の変動(当初)製造業の推移を見ると、長期的には、事業所数は次第に減少し続けている。これに対して、出荷額等は、バブル経済以降は横ばいとなっているが、変動が大きく'10年の大きな落ち込み後は回復基調にあった。 一方、従業者数は、バブル経済の崩壊とともに減少していたが、2000年代は概ね横ばいで推移してきた。 こうした中で、'20年にコロナ禍が始まり、この当初年の影響が経済センサスで見られる。 事業所数については、'20年、'21年も減少が続いている。 出荷額等については、'19年も減少していたが、'20年にはさらに大きな減少となった。 従業者数については、'21年に大幅な減少となった。 統計的には、変動のすべてがコロナ禍の影響とは断言できないだろうが、出荷額等、従業者数に一定程度の影響が見られるといえよう。 残念ながら、コロナ禍の個別業種への影響の具体的な事例を承知していない。 なお、コロナ禍の産業活動への影響は、多様なサービス業を中心として現れているのであろう。 事業所数の'20年から'21年の変動を業種別に見ると、殆どの業種で減少しており、減少幅の大きなものとしては、食料品、電気機械、パルプ・紙等が目立つ。 これらに対して、輸送機械、業務用機械、金属製品、鉄鋼などは増加している。 出荷額等については、ほぼ全ての業種で減少しており、減少額の大きさではその他、生産用機械、非鉄金属が目立つ。 他方、プラスチックが大幅の伸びとなっており、食料も増加している。 従業者数についても、殆どの業種で減少しており、減少の大きなものとしては、繊維、その他、食料品が目立つ。 他方、非鉄金属、金属製品はそれぞれ400人程度の増加となっており、また、情報通信、業務用機械は高い伸びとなっている。 その他については、背景に、特定事業所の業種仕分けの金属製品への変更があるかもしれない。 出荷額等と従業者数の増減を重ねて見ると、多くの業種で双方の減少となっている。 これに対して双方の増加となったのは、情報通信、プラスチックであった。 また出荷額等が増加し従業者数が減少したのは、食料品、化学であり、逆に出荷額等が減少し従業者数が増加したのは、業務用機械、非鉄金属、金属製品であった。 (統計データ) (Oct.16,2022) |