共感と覚醒「共感主義社会」と「覚醒資本主義」は、「浜矩子著『人が働くのはお金のためか』青春出版社2023年」の結論として描かれる望まれる社会像である。ただし、本書の内容は、就職活動に関連する雇用・学生両サイドのSNSでの発言をいろいろと検討し、さらにアダム・スミスやマルクスの論理を参照して、著者なりの思いを述べたもので、必ずしも論理的な議論を展開した結論ではない。しかし、この主張は、常日頃私が、生き方の基本としている「共に愉しく生きることを宣言し」、「正しく(真実に従い、正義に叶うよう)生きる」ことと重なっている。「共感主義社会」の主義というのは、唯一の在り方でなく、自分なりの思いであることを意味している。また「覚醒資本主義」の覚醒というのは正しさを考え抜きそれに沿うことを意味している。 多分、今日の社会の中で、本来あるべき生き方を素直に考えると、このような方向となるのではなかろうか。 ちなみに、私がこの本を手にとったのは、タイトルの「お金のためか」に引かれたからだが、これはお金と対比して2つの方向を強調しただけで、殆どお金については述べられていない。本の販売促進のためのキャッチコピーにとどまっている。 しかし、我々がお金に囚われてしまっていることについては、深く再考すべき課題であろう。お金から逃れることができるとは言わないが、もし囚われているモノを転換できるとすれば、新たな方向は「人との繋がり(関係的社会資本)」でなかろうか。実際に転換していく可能性は極めて乏しいが、人類精神史の望まれる流れを「神」から「金」、そして情報社会の中での「繋がり」と捉えたい。 Mar.10.2023 表紙に戻る |