進歩を疑う

 「スラヴォイ・ジジェック著『「進歩」を疑う』NHK出版新書2025年」を読んだ。
 以下、私の考えをかなり混ぜた要約。

 地球温暖化がどんどん進んでおり、既に、異常気象、飢饉、疾病、戦争などの混乱が次第に厳しくなりつつある。ヒトの破滅が進むことは間違いない。
 ヒトは特に選ばれた生命ではなく、全ての生命を同等に捉えることも必要だ。

 この時点で、さらなる経済的成長等を求め続けるのはとんでもない誤りである。
 人々のあらゆる活動は温暖化ガスの排出に繋がっており、活動を縮小させなければならないことは説明を要しない。

 どうも、韓国や日本では、これを直視しないでいるようだ。そして、グルメや推し(パンとサーカス)にうつつを抜かしている。〇〇ファーストで、自ら排出を削減しなくとも、地球上の誰かがやればいいと思っているのだろうか。

 生物の破滅にどう対応していくか。その術は最早ないと思える。しかし、少しでも和らぐよう努力せざるを得ない。
 自動車産業、観光産業の振興など方向が明らかに誤っている。
 コロナ禍の際にいろいろと経済活動をコントロールしたが、これを遥かに上回る状況の中で、新たに対応できないという理屈はないであろう。

 また、人類全体の一人当たり温暖化ガス排出許容量を念頭に置いた消費生活が求められる。少なくとも先進国の人々は、とんでもない生活をしている。

 ところで、生物の進化の中で、真核生物に移行した時、その維持のために生殖細胞を特に大事に保持し、その他の部分は置き替えていく仕掛け、つまり死が生命に組み込まれた。破滅していく地球生命の中で、この破滅自体を自らが請け負わず,後世に渡すこととになっている。いわば無責任体制だ。

 個人的な思いを述べれば、暑い夏が続く中で、この世から身を引くことが、しかるべき行動のようにさえ思える(ただし、こんな行動を提起すると、錯覚して殺人が流行りだすおそれがある)。
 取り敢えず慎ましい生活をしていく他はない。

Aug.23,2025

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