国家の形成と破壊の歴史◎集団の秩序ある素直な拡大集団が拡大し国家が形成されていく流れとはどんなものか。 最初に農耕牧畜の開始があり、その展開とともに人口の増大もあり、集団は次第に拡大していく。この過程で、統治者が登場する。 (生産力が拡大しなければ、融合の必然性はなく、個々の部族集団がそのまま続く。) こうした原初的集団は、しばしば隣接集団との争いを起こす。しかし、その勝敗・和解を経て、次第に融合一体化していく。 拡大した集団は、さらに隣接集団との争い等を経て融合拡大していく。 こうして、民族・言語・宗教が一定の大規模な集団・国家が形成されていく。 (こうした過程を経ず、個々の部族集団がいるところに、大枠の国家を被せると、いろいろなトラブルが生じることも多い。) このようなステップバイステップで、一体化した集団として拡大していくのが、国家形成の基本的パターンと考えられよう。日本の大和朝廷の形成の過程もこうしたシナリオで捉えられそうだ。 ◎集団の破壊 しかし、実際には、このようなステップバイステップの融合を伴いつつ拡大していく国家形成は必ずしも多くない。むしろ侵略・略奪・一方的支配と様々な虐待が行われ、多様な混乱がもたらされてきた。 人類の歴史で語られるのは、ほとんどがこうした内容であり、これが今日も続いている。 ◎理性ある行動 ただし、近代に至り、理性で混乱の解消が図られるようになってきた面もある。例えば、ヨーロッパの30年戦争後のウェストファリア条約、第二次世界大戦後の国連・植民地解放・民族独立、さらにはEUの結成などがこれに当たろう。 これに対して、今日では、侵略者、支配者はそれなりの正義を主張するようになっている。また、内政不干渉を求め。他者の考えを聞かない。 ◎先進国の罪 もっとも理性ある行動を主張している先進国、主としてヨーロッパ諸国は、過去に世界中の国々を植民地化し、略奪し、その発展を阻害してきている。そしてその土台の上に今日の自らを築いている。このため自らを投げ打ってでも、償いを限りなくする必要があるのではなかろうか。 日本もこうしたヨーロッパ諸国の尻馬に乗ったのたが、昨今は、いつまでも謝り続けず、こうした行動自体をなかったことにしようとする動きが出始めている。 〇〇ファーストの主張など、倫理観に欠けるのではなかろうか。 このような論述は、世の中の現実を全く知らない極めて甘い認識と評価されることであろう。 しかし、各自なりに正しく生きることを深く検討した場合、このような考え方が出てくるのではなかろうか。 参考図書;宇山卓栄著『世界「民族」全史』日本実業出版社2023」 Aug.19,2025 目次に戻る |