社会保障と勤労の義務「山下慎一著『社会保障のどこが問題か』ちくま新書2024年」を読んだ。長期的な労働環境の変化の中で、社会保障の困難な問題がもたらされていとしている。著者は法律学者であり、この解決のため、社会保障を検討する際には、憲法における勤労の義務には拘らなくてよいと緻密に検討している。 そして改革の構想を提示しているが、ここではマイナンバーカードを積極的に活用し所得の把握などを実現していくとしている。 小生は、1970年代の半ばに厚生省に勤務していた。その時期既に年金を長期的に変革していくべきことははっきりしていた。しかし、根本的な施策がまったくとられてこなかった。 これは、多様な課題があり、誰にとっても不都合な側面があるため、ポピュリズム的反対に対抗しようがなくなっている状況と言えよう。政治の限界が如実に現れている。 このため、政党は改革すべきことを明確にし、方向を提示する必要があろう。その上で、票を集めれる現時点なりのぎりぎりの策を提起し、変革を進めていかなければならない。困難だが、手をこまねいていては、事態が悪化していくだけである。 Oct.15,2024 表紙に戻る |