遊牧民

 「相馬拓也著『遊牧民、はじめました。』光文社新書2024年を読んだ。
 モンゴルの極限の地での極限の生活を描いたエスノグラフィーである。

 「モンゴル人の心模様には、遊牧生活で醸成された独自の主観がある。・・・
 自己否定を完全に排除したモンゴル人の主観は、自己そのものに向き合うことを上手に回避するという心理操作の完成形でもある。・・・
 モンゴル人とは、本質的には好戦的な心を宿し、暴力行使へのハードルの低い人々なのだ。・・・
 その暴力に由来する現代のモンゴル人たちの思想も思考も、現代社会とは相いれないものが当然多い。・・・
 底流する他己犠牲という発想は、ユーラシアの遊牧民の本質でもあり、人口寡少な草原地帯を大国や文明世界と対等に渡り合わせた思想であり、遊牧民の社会を内部から破綻させた脆弱性の一因でもある。他己犠牲の思想によって、遊牧民は栄え、そして死んでいったのである。」

 極限の環境の中で生まれ成長すれば、このような他己犠牲の発想を持ってしまうことも想像できそうだ。
 しかし、我々はどう付き合えばいいのか。どうも付き合いようがなさそうだ。
 いろいろ考えさせられることが多いが、どうもうまくまとめれない。

取り敢えずメモを残して置く。

Oct.01,2024

表紙に戻る