脳科学 多様な研究の積重ね「乾敏郎・門脇加江子著『脳の本質』中公新書2024年」を読んだ。脳科学の研究が急速に進み、その理解が深まっている。この新しい知見は、小生の気持ちをわくわくさせてくれる。そして、脳、ヒト、その他多様な生物等々が、宇宙の進化の中で物理化学的メカニズムからたまたまできたものであることが、一層納得できるようになる。 ちなみに意識の正体については、何か現状を超越した概念が提起されないと、まだ納得できる理解ができないようだ。 本書は、私にとってことさら新しい知識は必ずしもなかったが、脳科学の現況を体系的に把握させてくれ興味深かった。そして、現在の脳科学の知見が、広範な分野の多様な研究の積み重ねから成り立っていることをつくづくと感じさせられた。 脳科学に大きく貢献した研究として神経の繋がり、新皮質の部位、海馬による記憶、ミラーニューロン、自由エネルギー、ベイズ確率の最小化等々を並べることもできよう。しかし、脳科学者はもとより多様な科学者の多様な研究を際限なく取り上げないと脳科学の現況を説明できない。 相対性理論や量子力学などのように、ある程度限られた研究者がいつも挙げられるような分野と極めて異なっている。 これが今日の科学研究一般の状況なのであろう。 Nov.30,2024 表紙に戻る |