経済学は役に立つか

「小塩隆士著『経済学の思考軸−効率か公平化のジレンマ−』ちくま新書2024年」を読んだ。
 経済学原論の解説であり、経済学は決して効率だけでなく公平にも配慮していると述べたものである。資本主義市場経済の場でものを考えるには、そのメカニズムとして経済学の原論が重要なことは間違いない。

 しかし、近年の日本の経済運営に経済学は役立っているのだろうか。トリクルダウン仮説や新自由主義など格差を拡大し社会の崩壊を招いているのではなかろうか。

 さらに、地球温暖化について考えると、経済学の逐一の説明が、もどかしく見当違いの議論をしていると思える。地球温暖化への対処は、経済学だけで整理できるわけでなく、自然科学とともに社会科学を包括して考える必要がある。特に、正義論が出発点になりそうだが、ここに合意された見方がある訳でない。経済学に倫理を持ち込むなという見方があるが、これでは実際には役に立たなくなる。

 一つだけ基本的な課題を提示しておく。「温暖化ガスの一人あたり排出許容量」についてどう考えるか。素直には、人類一人当たり同等となりそうだ。しかし正直に考えると、動けなくなってしまうのだが、どうしようか。

Jun.13,2024

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