新しい哲学(科学的実在論)

 哲学に関し様々な議論が続いているが、なかなか理解しにくい。
 しかし、現在の科学の進展によってかなりすっきりした話ができるようになっているのではないだろうか。

 相対性理論、量子力学、生物進化論、脳科学等が著しく展開している。この中で、全ての存在は、インフレーション以降の化学反応で形成されたと理解されるようになってきた。また、個々人の意識は、親から受け継いだ遺伝子と生命発生後の環境の中で、各人なりの性向が形作られていると考えられる。

 この結果、科学の展開をそれなりに理解することによって、我々の自己認識が極めて洗練された様式となってきているのではなかろうか。そして、透明な哲学とでもいうべきものが可能となっているように思われる。ちなみにチャーチランドの科学的実在論はこのようなことを主張しているようだ。
 予め断っておくが、私の理解は、インフレーションによって宇宙が生まれたことを取り敢えず認めそれ以上遡らないことで妥協している。また、クオリアの形成については、よく分からないが、取り敢えず無視して素通りしている。

 存在と意識の問題が整理されることによって、人生における多様な疑問が現時点なりに解明されているように思われる。例えば、死とは、単なる生の停止であり、個体の死があるのみで来世はない。宗教の中心的課題である救済も問題自身が解消している。ゴーギャンの「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」にそれなりの見方がもたらされている。

 誰かが、こうした新しい哲学を分かり易く説いてくれないだろうか。

 ただし、これで個々人の生き方が見えてくるわけでない。
 生とはDNAのバトンタッチとともに、我々が継承している社会に若干の変化をもたらすことである。
 我々は、多様な性向を持った人の集まりの中で生きている。このため、各人は、どの様な生き方が可能かを見通しながら自分はどう生きるか決めていかざるを得ない。
 自らの欲するところを宣言して生き続けていくこととなり、その生き方の可能性について、試行錯誤して探っていかざるを得ない。
 意識的か否かはともかく、こうした各人の行動の中で、人類の歴史が形成されてきた。

Feb.08,2024

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