ブッダの悟り

 今から138億年前、何かの揺らぎが一度に拡大(インフレーション)しエネルギーが詰まった時空間が生まれた。さらに膨張(ビッグバン)する中で温度が低下し、エネルギーの物質化、対消滅によるエネルギー化を繰り返しながら結果として現在の物質を構成する素粒子が残った。これ以降、宇宙は、我々の知っている物理化学のメカニズム(自然の摂理)で進化してきた。
 この結果として、ヒトも存在しているのだが、予め決められた目的などなく多様な因果関係の中で生まれている。

 「清水俊史著『ブッダという男』ちくま新書2023年」では、ブッダの悟りとして、無我の発見、縁起の発見を挙げている。これは、上で述べたヒトの存在そのものではなかろうか。
 仏教に詳しい訳でなく、かなりの曲解かもしれないが、私なりの仏教の理解である。
 このような理解に行き着くにはかつては沙門としての努力が必要だったのかもしれないが、現代では、科学的知識から導けると言えそうだ。

 ただし、ここには、「いかに生きるか」への回答はない。
 それは、自らのやりたいことをしっかりと考えて、そこから広げていくべきであろう。
 これには、それなりの努力が必要であるが、かなり迷いは解消できる。少なくとも自信を持って開き直ることができる。
 仏教はその後いろいろな虚構を纏っているのだが、原点に戻って再考してはどうだろうか。

 ところで、歴史的経過から、現代社会の思想をキリスト教、イスラム教が支配している。こうした一神教は、正しく生きようとするよすがとなり、現代社会に欠かせない。しかし、もともと虚構であり、これまで無用な争いを引き起こしてきたのも事実である。
 こうした意識のもとで、現代社会を仏教の原点から再考することができないだろうか。

Dec.18,2024

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