アイドリング脳「井ノ口薫著『アイドリング脳』幻冬舎新書2024年」を読んだ。富山大学にあるアイドリング脳科学センターの研究成果の紹介である。サイエンス等の科学誌に掲載されたという内容がいろいろとあり、一見自慢話の感じがする。しかし、内容は著者とそのグループ自身の最先端の研究成果であり、決して自慢などといったものではない。その成果は、研究課程を含めて興味深い。 現時点での最も重要な成果としては、推論メカニズムの発見であろう。 目覚めている間に、多様な情報がバラバラの状態で脳にとどめられる。それがノンレム睡眠の間に、学習活動(取得した情報)が同期して(いろいろと繋がって)ヒエラルキーが構築される。そしてレム睡眠の間に、ヒエラルキーから推論(価値のある繋がり)を導き出す。(本書p113) 研究の指針としては、「疑問点は何で、それがなぜ重要か」、「研究の成果は何で、新しい発見が含まれるか」、「研究の重要性を一般の人に納得させることができるか」の3点が掲げられている。(本書p91) Dec.11,2024 表紙に戻る |