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第5章 ゆとりある郷土
第6節 県土利用の再確認
第1項 土地利用計画

1.土地利用制度
―秩序ある開発整備を求めた制度―

(1) 土地利用計画基本計画
(2) 都市計画
(3) 農業振興計画
(4) 森林計画
(5) 自然公園・自然環境保全


 多様な分野の土地利用制度が重ね合わされて、全体として、秩序ある開発整備を求めた制度となっている。


(1) 土地利用計画基本計画
 県土の利用に関しては、都市計画、農業振興計画、森林計画、自然公園・自然環境保全等の制度の下で、計画的な管理がなされることとなっている。
 これらのいずれかの土地利用計画に全県土425,373haの 99.3%が入っている(網がかかっている)。
 具体的な土地利用については、各計画でさらに用途等が区分され利用の基本方向が決められている。実際の土地利用の検討にあたっては、それぞれの地域において、関係する土地利用計画の用途計画を踏まえ、個々具体的に検討していく必要がある。

 上図で利用しているデータは平成8年のものであるが、大枠には変化がない(最新データがWebサイトで見つからない)
 なお、以下のデータは、富山県県民生活環境文化部県民生活課「土地に関する統計資料」で一括して入手できる。
 また、具体的な地図情報は、Web-Site"LUCKY"で閲覧することができる。

土地利用計画図
 概ね神通川・常願寺川間とその周辺
 LUCKYによる(Jun.29,2016)

赤色;都市計画
 格子:市街化区域、縦線:市街化調整区域、
 桃色:非線引き用途地域
黄色;農業振興計画
 斜線:農用地区域
緑色;森林計画





(2) 都市計画
 都市計画の地域は、@市街化区域と市街化調整区域が設定されている(線が引かれている)「線引き都市計画区域」とA用途地域のみが設定されている「非線引き都市計画区域」に分かれる。
 線引き都市計画区域の市街化区域には用途地域が設定され地域の都市的整備を方向づけており、市街化調整区域は都市的整備を抑制する地域とされている。富山県では富山高岡広域都市計画区域がこれに該当している。
 非線引き都市計画区域の用途地域以外は、広範な面積を占めるが、都市的な利用の在り方は規定されていない。

 都市計画の用途の設定については、線引き都市計画区域も非線引き都市計画区域も概ね似た構成となっている。ただし、市街化区域においては、住宅専用地域の構成が若干高くなっている。

 これまで、この非線引き都市計画区域の非用途地域で、小規模住宅団地の開発がかなりなされてきた。これは、都市的開発を抑制する地域とされておらず、かつ市街化調整区域を超えて市街化区域の職場への通勤などが可能なためである。また、団地として開発されるのは、農業振興政策の転用規制を逃れるとともに、宅地造成経費を安価にするためである。

 都市計画法は戦後大都市圏に移住した人々が郊外に住宅を求めた際にスプロールが起こり、これを抑制するために1968年に制定された。全国一律に適用されたが、大都市圏以外では、実態に合わない制度であった。

 これまでの都市計画は、必ずしも、住民が参加し自らの計画として定められてはこなかった。今後は、十分な参加により、実効ある計画を指向していく必要があろう。都市マスタープランの策定は、住民自らの計画づくりを求めているが、我々県民はその手続きを十分には修得していないと思われる。


 用途地域の構成を工業系、商業系、住居系に分け、その構成比を都道府県間で比較すると、富山県はかなり工業系の比率が高い。



 富山県については、富山市・高岡市それぞれ北部の工業地帯及び富山新港周辺の工業地帯を抱え、重化学工業を中心に産業を発展させてきており、工業用の地域の面積が大きくなるのも当然であろう。

 しかし、産業構造が大きく変化する中で、既存の工業用地には広大な空き地が目立ち始めている。これに対して、住宅用地については、用途地域内の住宅用地が必ずしも円滑に活用されず土地が不足し、市街化区域の外での開発が急激に進んでいる。
 都市計画の変更は、多くの利害が絡み容易なことではない。しかし、制度を時代の変遷に会わせて運用していかないと、極めて不適切な土地利用が出現することとなる。
 この点に関しては、県民全体が都市計画の趣旨を再確認し、地域全体としての利益が実現するよう調整されていく必要があろう。



(3) 農業振興計画
 農業振興地域整備計画では、既存の田畑のほとんどは農用地区域とされ、長期的に農業を続けていく土地と位置付けられている。
 この背景には、農業投資への公的な資金の導入には、農用地区域が条件であり、宅地・山林原野以外の地域はとりあえず農用地区域に位置付けておく傾向がある。
 しかしこれによって、かえって都市的用途の土地の需要に節度を持って対応していく計画となり難くなっている面がある。



 農地での農用地区域の設定に関して、富山高岡広域都市計画区域を除いて、上市町で、非農用地区域の設定が相対的に広くなされているが、これは計画的土地利用に鑑み既存都市地域周辺を今後、都市的整備を行っていく地域としたためである。
 ただし、人口減少時代に直面し、上市町では非農用地区農地の宅地化が急がれており、利用されない住宅地が出てくるように見られる。
 逆に、非線引き都市計画区域のその他の地域では、小規模住宅団地の開発がかなり行われてきた。
 


(4) 森林計画
 国有林以外の全ての森林は、地域森林計画対象民有林に位置付けられている。



(5) 自然公園・自然環境保全
 自然公園区域の 2/3が国立公園、1/3が県立公園で、国定公園は1%に満たない。また、ほぼ全ての地域が、森林計画の地域(国有林を含む)の範囲と重複している。


 以上の土地利用計画、特に都市計画、農業振興計画については、秩序ある開発整備を念頭に置いて定められている制度である。上述のコメント等も主としてこの方向に沿ったものとなっている。
 しかし、次ページ以降でも述べるが、県土利用の実態からみれば、これまで特に、1990年代に、法の網の目を掻い潜っ、て計画の方向に沿わない相当程度の農地の宅地化を行ってきている。
 そして現時点では、人口の減少が加速しており、まもなく世帯総数も減少し始める局面に立っている。このため、いかにしてまとまった都市へと収束させていくかという課題に直面しており、土地利用計画の新たな発想が必要となっている。
 県民の福祉を目指し、将来にわたって適切な土地利用を実現していくためには、土地利用のあり方について共通認識を形成し、その有限性から財産権の相当程度の制限を課すとともに、一方では維持保全のための保障等も行うなど、積極的努力が必要である。

(統計データ)


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(Jun.10,2020Rev./Nov.30,1997_Orig.)