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参考 地域創りの意思決定
第2節 行動原理 ―正しく生きる―
第3項 社会の構想
3.差異と平等
以下の内容は次の文献の骨子です。
小川仁志著『はじめての政治哲学―「正しさ」をめぐる23の問い』講談社現代新書2010年
差異と平等をめぐる論争
◎社会主義
【空想的社会主義】
(初期社会主義)
・サン=シモン(1760-18325)最も貧しい階級の境遇改善、労働に応じた報酬
・F.フーリエ(1772-1837)「ファランジュ」最小限度の配分の後能力等に応じた配分
・R.オーウェン(1771-1858)「一致と協同の村」一つの村を家族に
批判;科学的理論の欠除(マルクス)、空想的社会主義(エンゲルス)
【マルクス主義】
カールマルクス(1818-1883)『資本論』(1867)
「人間の疎外」、「唯物史観」、「労働価値説」
歴史の発展段階 原始共産制→奴隷制→封建制→資本主義→社会主義→共産主義
【アナリティカル・マルキシズム】
@正義の理念自体への反対 個人間の対立調停でなく対立そのものの克服
A正義の重視 生産手段の私的所有との両立を否定
Bポスト社会主義
フェミニズム
エコロジー運動
新たな理論
ネグリ『帝国』
S.ジジェック(1949-)コミュニズム思想
多文化主義
◎多文化主義
【多文化主義】
テイラー『承認をめぐる政治(マルチカルチュラリズム)』(1994)
多文化主義的コミュニタリアニズム
「差異に対してより好意的な類型」・・「価値の平等性の仮定」「地平の融合」
キムリッカ『多文化時代の市民権』(1995)
リベラル多文化主義
「集団ごとに異なる権利」
I.ヤング(1949-2006)『正義と差異の政治』(1990)
「特色を持つ人民」
【差異の政治】
コノリー『アイデンティティ/差異』(1991)
個人単位での権利の尊重 アィデンティティの固定化は排除を生む
◎宗教多元主義
・J.ヒック(1922-)『神は多くの名前を持つ』(1980) 他の宗教にも独自の真理
【変わるイスラーム】
L.アスラン(1972-)『変わるイスラーム』(2005) 改革派と反改革派の対立
コーランは他の宗教の伝統に敬意を払ってきた
【仮想戦争】
L.アラン『仮想戦争』(2009) 帰属意識をめぐる闘い
相手を認めたときに恐怖は消える
◎フェミニズム
【第一波フェミニズム】
公的領域における男女平等の要求 「リベラルフェミニズム」
グージュ(1748-1793)『女性及び女性市民の権利宣言』(1791) 人権宣言(1789)の直後
ミル『女性の解放』(1869)
【第二波フェミニズム】
「ラディカル・フェミニズム」
B.フリーダン(1921-2006)『新しい女性の創造』(1963) 定型化された女性像は抑圧
K.ミレット(1934-)『性の政治学』(1970) 家の家父長的権力関係の告発
「マルクス主義フェミニズム」
【理論の今日的継承】
「リベラルフェミニズム」
S.オーキン(1946-2004)『正義、ジェンダー、家族』(1989)
私的領域にも着目 政策は個人単位で
J.ロールズ『正義論』を批判 女性の視点が欠如
「ラディカル・フェミニズム」
J.バトラー(1956-)『触発する言葉』(1997) 主体の概念を所与としない
【ケアの倫理】
C.ギリガン(1936-)『もうひとつの声』(1982)
従来の男性の成長を念頭においた発達心理学の批判
女性の道徳は責任や関係性に基づく「ケアの倫理」
男性の道徳は権利やルールに基づく「正義の倫理」
◎福祉国家
【福祉国家の起源】
「ウェルフェア・ステート」 vs. 「ウォーフェア・ステート」
・公的扶助 生活貧困者の無償救済
「エリザベス救貧法」(1601)、「ベヴァリッジ報告」(1942)
・社会保険 被保険者の救済(保険料の支払いが前提)
ビスマルクの産業化に付随する社会問題への対応(1883)
・社会扶助
扶養原理に基づく保障 高齢者医療・児童手当など
・福祉国家批判 サッチャー政権、レーガン政権
【3つのレジーム】
E.アンデルセン(1947-)『福祉資本主義の3つの世界』
分類軸 「脱商品化」、「階層化指標」
@スカンジナヴィア・モデル・・・社会民主主義モデル
包括的な社会権の保障、労働者・中間階級の二重構造の拒否
A大陸の福祉国家モデル・・・保守主義モデル
利益集団を基礎とした福祉国家
Bアングロサクソン諸国家型・・・自由主義モデル
個人を基本として市場重視
【ケイパビリティ】
A.セン(1933-)『不平等の再検討』(1992)
「ケイパビリティ」 社会的に保障される個人の能力、行為選択の可能性
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(Feb.10,2016Rev./Jan.05,2011Orig.)
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