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参考 地域創りの理念
第1節 歴史認識 ―大転換の時代―
第3項 歴史の転換点

1.大転換の時代

 現在、地球温暖化、資本主義市場経済の限界など大転換の時代にある。
 今後の地球の大混乱を避けることは極めて困難と思われるが、当面どう対応していくか。いろいろと説明すべきことが多い。
 以下の内容では全く不十分であるが、取り敢えずその骨子を描いておく。

 現在、人類、国、地域社会は、その生き方について大きな変革が求められている。
 特に大きな課題は、地球温暖化と資本主義市場経済の限界であろう。また、国際社会の平和の維持も困難な課題になりつつあるようだ。

 地球温暖化については、 温暖化ガスの排出を止めない限り、気候変動により、人類はもとより生物世界全体の大混乱が起こることは明らかであろう。これにともない、多様な争いも引き起こされることであろう。
 温暖化ガスの排出の危うさは1980年代末から指摘されていたが、我が国などは長期にわたって放置してきた。しかし、近年に至って、異常気象が頻発するようになり、また国際社会での対応が深まってきて、泥縄的な対処を始めている。個々人、地域、国は、自らの責任として、積極的に対応していく必要がある。
 グレタさんが指摘するように、我々は若者の未来を奪ってはいけない。

 また、経済活動については、まず温暖化ガス排出の課題があり、これは資本主義体制の下では解決はかなり困難である。一人当たり温暖化ガス排出許容量という発想をすれば、個人毎の消費に自ずと限界があり、一定以上の所得は意味を持たないものとなる。地球温暖化と資本主義市場経済の限界の課題は密接に繋がっている。
 同時に現在の資本主義体制の下では、所得の格差が著しいものとなり、多くの人が貧困に陥り、そこから抜け出せない。そして、社会の階層分離が進んでいる。これは我が国はもとより、多くの国々で、また国際社会でも見られる。
 資本主義市場経済システムの中では、人々、企業は専ら一層多くの所得を得ることを行動原理としており、他者が排除されてしまうことには頓着しない。金融業を始め多くの業種は、使用価値ある財サービスを生み出すことを忘れ、もっぱら交換価値としての所得を指向しており、国の経済運営もこれを支援することを旨としている。仮に法規制で制御するとしてもグローバル経済の中では、極めて困難となっている。
 かつてK.ボラニーは、資本主義市場経済はたまたま成り立っているシステムであり、大転換を図らなければならないと指摘した。現在、今日なりにこのシステムの転換が必要となっている。

 国際社会の平和の維持に関しては、民主主義と専制主義の対立がある。基本的には、民主主義体制で、国際社会が溶融していく方向を目指したい。
 しかし、我が国は、我が国独自の集団主義的発想があり、方向が極めてあいまいになっている。そして温暖化ガスの排出はもとより、難民の受入れ、民主主義価値観の普及など多様な課題で国際社会のフリーライダーになっている。
 このままでは、国際社会の非常時においてどこの国も支えてはくれないであろう。さらに例え国際社会への一定の貢献を果たすとしても、食料の自給等自立できる体制を取っておく必要がある。


 私は団塊の世代であり、大学を出て社会に出たのは、1970年であった。当時は、高度成長が続いてきて、もはや景気循環も克服したという認識さえあった。そして環境問題等を背景に、また『成長の限界』の指摘などもあり、新たな豊かさを模索し始めていた。しかし経済成長の価値観からは逃れられず、結果として、団塊の世代は必要な対処をしてこなかった。
 今、大転換に取り組める可能性はあるのだろうか。異常気象がかなり明確になってきており、また、経済格差の問題もかなり厳しくなってきている。そして『人新世の資本主義(斎藤幸平)』がかなり購読されているなど、大転換の方向性を理解する人も増えてきているようだ。
 社会の3-4%の人が動き出すと社会変革の可能性が出てくると言われているが、早急に挑戦すべきであろう。

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(May.23,2021)