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参考 地域創りの意思決定
第1節 歴史認識
第2項 歴史の流れと日本

3.文明としてのイエ社会

村上泰亮・公文俊平・佐藤誠三郎著
文明としてのイエ社会
中央公論社 1979年8月

 多系的発展の一般図式(欧米的近代化の相対性/多系的発展論の試み/思想の発展枝/近代化と産業化)/日本社会の組織原理(日本史の二つのサイクル/ウジ社会の進化/イエ集団の特性/社会動学の方法)/イエ社会の進化(イエ社会の形成/初期大イエ化過程/大イエ連合国家/イエ社会の近代化)/イエ社会の展望と選択(「豊かさ」の帰結/イエ社会の二つの途)

 世界史の中での日本の近代化の位置づけとして紹介しておく。
 西欧の個人主義的産業化に対して、日本は集団主義的産業化の道をたどってきたと主張している。単に西欧的流れに乗るのではなく、我が国にこれまであった集団主義的様相にどこまで拘るべきか、拘らざるを得ないかは、両論があろう。

日本社会の世界史の中での位置づけ
 目次の構成でも分かるように、世界の文明の発展図式を描いた後、日本の発展を位置づけている。


日本型社会の形成史
 さらに、日本型社会の形成史をウジ社会からイエ社会への変遷として捉え、詳細に描いている。
 全体が約600頁に及ぶ大書であるが、内容は原典を紐解かれたい。




 シナリオT
溶融的国際化
従来の集団主義からの離脱の
方向を重視
シナリオU
適応的棲み分け
集団主義のかなりの部分の
再建の方向を重視
家族小イエの再建
母系型あるいは父系型
企業企業の限定化
企業離れ
企業の無限定化
正統化
国政多数決化(政権交代制)
強い民主主義国としての自立
一致化(一揆の大連合)
一揆の共和国としての自立
日本社会の選択可能性
 最終章で日本社会の選択可能な途として二つのシナリオを描いている。
 現在の社会がこれらのシナリオに沿っているか、特に家族に関して疑問がある。しかし、このシナリオは予測でなく、可能性として描かれたものである。実際には、整合性のない社会事象が起こり混沌としていると解釈するとよく理解できそうである。


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(Feb.10,2016Rev.)