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参考 地域創りの意思決定
第4節 社会計画
第1項 目標の設定

2.大転換の時代の目標

 高度経済終焉期には、地域創りの新たな在り方の模索の中でその目標が一旦曖昧になった。しかし、今日では、解決すべき困難な課題があり、この解決を図ることを目標とせざるを得ない。
 各自に生き方を転換していくことが求められ、これを素直に受け入れることは極めて難しい。しかし、我々は、これに積極的に対応していく誇りある生き方を目指さなければならない。

 現在の自分の立場に拘らず、本当に問題を解決しようとすれば、その方向はかなりはっきりしているのではなかろうか。まず、解決すべき大きな課題として、地球温暖化ガス排出の削減、経済的格差の解消、世界平和の実現がの3つが挙げられる。このうち特に初めの2つについては、個人の生活・資本主義経済の切替が必要で、経済成長からの脱却が求められている。

・地球温暖化の抑制
 地球温暖化ガスについては、できるだけ早期に排出をゼロにするよう、消費活動・生産活動を転換していく必要がある。
 個々人は、その消費生活全般に配慮し、不必要な消費はしない。特に、冷暖房や移動での排出量が大きく、家屋の構造等に配慮する必要があり、また自動車や飛行機の利用を極力避さける。さらに、太陽光発電等の工夫もする。これらを促すため、個々人一人当たりの排出許容量の発想を広めてはどうだろうか。
 企業における生産活動についても排出をゼロとしていく。また、本来不要と考えられる財サービスの生産からは撤退する。このため消費拡大を喚起するような宣伝は行わない。このようなことは資本主義経済では本来的に困難であり、経済体制を転換していく必要があることは明らかであろう。他方、様々な再生可能な発電を工夫していく。とりあえずは、分かり易い炭素税の導入が必要であろう。
 排出削減の国の姿勢については、国際社会の動き待ちであって、例えば菅政権は、アメリカのバイデン氏による方向転換を見越して、直前に掌を返した。このため、我が国の対応は極めて遅れてしまっている。国際社会をリードするとしているが、主体的な本気度に欠けている。例えば国際観光の振興は明らかに方向違いであろう。また、個人としての具体的行動の世論も全く盛り上がっていない。国は、経済活動への影響を配慮しているのだろうが、もはや脱経済成長の必然性を認識する必要があろう。


・格差の是正
 これまで、まず経済成長があり、やがてその成果が広く配分され、いずれ格差は是正されていくとされていたが、これは全くの虚構であった。今、生産活動の水準に拘らず、その成果の分配を大きく改めていく必要がある。
 個人の経済活動においても、例えば資産形成の必要性が言われるが、株式投資等は、結局は労働分配率の低下を招くものであり、分配の平準化には反するものであることを認識する必要がある。
 企業活動では、働く人へは生活ができる正当な賃金を支払っていく。労働コストの引き下げと称して本来支払うべき賃金の節約はしない。継続する非正規雇用などは虚構である。また労働分配率の引き上げに配慮が必要で、株主優先の体制は改める。さらに人々の生活の豊かさに繋がらない生産活動からは撤収する。
 このような体勢の実現には資本主義経済には限界があり転換が必要である。出発点として起業家が企業の共同所有(コモンズ)化を図り、共同経営(コモンニング)を実践していくことで、資本主義体制に亀裂を入れていく必要があろう。


・国際平和の実現
 日本は暗に固有の存在を主張し、国際平和のための積極的努力をしていない。国際社会の平和実現については、日本自身が従来の集団主義から離脱し、強い民主主義国としての自立を目指す必要がある。
 具体的には、まず多様なフリーライダーとなっていることを改めていく必要がある。例えば、地球温暖化ガスの排出削減、人権問題がある国家政府の牽制など多くの課題がある。
 また、国際社会での共生への配慮が必要である。例えば、難民の受入れなど課題があろう。
 さらに国際協力事業などにも積極的に貢献していく必要がある。
 他方、今後の多様な危機に自立できる体制を築いていくことも忘れてはならない。

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(May.29,2021)