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地球平均気温の推移
―地球温暖化ガス排出は1/10に―

 地球の平均気温が上昇しつつあることが確認されたのは、1980年代末のアメリカでの旱魃に際しての議会での証言であった。
 当時、学識者の中には、勇み足という意見もあったが、今日では、ほぼ合意されている。さらに温暖化ガスの影響であることも確実視されている。
 このため、温暖化ガス削減の議論がなされる際は、一般には、1990年の排出量が基準とされる。
 なお、2023年の地球の平均気温は、1961〜1990年平均に比して、1.1度上回った。初めて1度を超えており、今後上昇が加速していく可能性があるのではなかろうか。
 温暖化ガスの排出がどの程度に抑制されれば、地球温暖化がどの程度抑制されるかははっきりしない。しかし、このままの排出を続けていれば地球生命の大量絶滅が起こる可能性も言及され始めている。ちなみに地球生命の大量絶滅はこれまでペルム紀末や白亜紀末など5回あったとされ、今度は6回目となる。
 このため、人類が協調して温暖化ガス排出の削減をしなければならないことは明らかだが、国家間の政治的駆け引きとなってしまい極めて困難な状況にある。

 仮に各自の置かれた立場を離れ、全人類あるいは全生命の立場に立って、どのように削減すべきか考えるとどうなるか。
 J.ロールズの『正義論』にある無知のヴェールの後(自分が何者か分からない状況)で判断すれば、まず、約70億人それぞれ同量の排出権が想定されよう。現在の排出量で言えば、CO2で4.6t/年である。これは現在の日本の水準の約1/2に相当する。ちなみにこの想定に賛成し個人的排出権取引も許容しなければ、各人の物的消費は一定量に制限され、より多くの所得を得ることは無意味になる。
 さらにこれまで大量に排出してきた先進国の責任に鑑み、削減量に格差を付けることも考えられよう。仮にこれを1/2とすると、日本では1/4までに削減しなければならない。
 また、総排出量を大幅に縮小することも必要である。例えば1/2までに縮小することとすれば、日本では1/8までに削減しなければならない。
 このような試算は、決して過大な計算でなく、現在の状況に鑑みた素直な計算と思われるのだがいかがだろうか。
 昨今の経済状況に鑑み躊躇するのは、「健康のためには死んでもいい」と言っているようなものである。
 国家間の駆け引きに鑑みれば、人類はこの困難を乗り切る力量は持たず、かなり悲惨な状況に追い込まれるのてばなかろうか。
 このような状況のもとで、我々一人ひとりはどのように行動するか。極めて難しい課題である。
 例えば、日本の排出量を効果的に削減する手段として、人口を1/10程度にまで減らす方法もある。現在、人口の減少について大騒ぎをしているが、このように発想する人はいないのだろうか。
 なお、世界で起こる自然災害は長期的に増加してきているが、21世紀に入ってからは減少している。この意味合いはよく分からないが、大嵐は横ばいであるが、洪水は大きく減少している。


 死者数で見ても、近年増加しているとは言い難い。
 温暖化とは関係しない地震を別にすれば、かつては干ばつが大きかったが、現在では少なくなっている。これは国際的な食料支援体制の整備が背景にあろう。


 ちなみに日本での自然災害による死者数は、1993年・2011年の地震(右図右目盛)によるものが際立って大きいが、その他では、21世紀に入って発生し始めた異常気温、従来からあった暴風、洪水が目立っている。


 世界の自然災害による罹災者数については、火山活動、干害が特に大きく、さらに地崩れ、地滑りが加わっている。


 ただし、世界気象機関(WMO)は、世界各地で異常気象が相次いでいると発表している。





(統計データ)

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(Jul.01,2024Rev./Jan.27,2022Rev.)