2.産業活動
◎産業活動での地球温暖化ガス排出のゼロ化 産業活動にあっては、なによりも地球温暖化ガス排出のゼロ化を実現する。同時にこのために必要な産業構造の転換を図る。最小限のエネルギー利用は再生可能エネルギーへの転換を図っていく。 ◎企業経営の原点に回帰 企業経営は、その原点に戻り、消費者に喜ばれる財・サービスを生産し、その対価を受け取ることによって、企業に働く人々に生きていける賃金を渡していくことを本旨とする。 (1) 産業活動での地球温暖化ガス排出のゼロ化 温暖化ガスの排出ゼロ化を目指し、最小限のエネルギー利用は再生可能エネルギーへの転換を図る。 鎮静化すべき産業 ・観光産業 飛行機の利用は、「飛び恥」として認識されるように、膨大なCO2を排出する。このため、国際観光の振興などは即刻手仕舞いとする。これを県として打ち出すことは困難と言われる可能性も高いが、地球温暖化対策に取り組む覚悟が立証できるであろう。国際観光がCOVID-19騒動から抜け出すには極めて時間がかかり、関連事業は厳しい対応が避けられない。むしろ撤退していく契機としてはどうだろうか。 ・建設産業 既に、公共投資の大幅な削減によって疲弊している産業である。しかし、道路を始めとする多様な基盤施設は人口減少により急速に需要が低下していく。また、国土強靭化の名によって多様な事業が展開されているが、その取捨選択が真摯に行われていない。基盤施設整備の在り方等を検討する委員会等は利害関係者のみで構成されがちで、というより事業量全体の削減を提起する者は含まれず、為政者も我田引水の議論をするため、結果として変革できない。かつて政権が変わった際に、仕分け事業として改革に着手しようとしたこともあったが、多様な既存勢力によって潰されてしまっている。 ・火力発電 活性化すべき産業 ・自然エネルギー産業 富山県には、水力、風力、太陽光等の発電の可能性があり、これを実現していく企業もいろいろとある。富山県独自に「自然エネルギー税」を作り、家庭の太陽光発電などを含め、自然エネルギーを開発する者を支援していくことが望まれる。富山県には「水と緑の森づくり税」があるが、この税制は思いのほか容易に設定され、手続きに懸念を感じたほどである。新税の設定には、十分な議論を興し、県民の意識を高めていくことが期待される。 ・省エネ関連産業 富山県には地場で生まれ育った優秀なハウスビルダーそして関連事業者が数多く存在する。これらの関連事業者が連携して、住宅産業クラスターの形成を図り、省エネ住宅の整備を図っていく。 ・各種ケア産業 ケアの分野に資金を回すことを前提に産業分野として充実を図っていく。 ・新しい農業 土地利用の仕掛け、農業組織の工夫、デカップリング(所得補償)で耕地の維持を図っていく。 産業ごとの地球温暖化への負荷を検討し、負荷が大きくエッセンシャルでない業種については、縮小を図る。特に、観光産業はこれに当たる。 (2) 企業経営の本旨に回帰 社会的価値のある企業活動、企業経営の本旨は、消費者に喜ばれる財・サービスを生産し、その対価を受け取ることによって、企業に働く人々に生きていくための糧としての賃金を渡していく行動である。 我々は何を求めるのか。今日の社会全体の生産力から見て、その成果の分け合いがうまくできれば、これ以上物の生産を拡大しなくてもよい。さらに、ITの効果的活用がうまくできればそんなに働かなくてもよい。 利益至上主義からの脱却 専ら交換価値としての利益を求め、使用価値のある財サービスの生産を顧みない企業活動は、排除していく。利殖を主目的とした投資は、結局は労働分配率を引き下げ、社会全体の格差を拡大させる。仮に貯蓄を奨励するとしても投資を奨励し個々人を支援することは政府のやることではない。 他方、財サービスの販売として、無暗に宣伝し、消費意欲を引き上げることは、地球温暖化の観点から見てやはり好ましくない。この意味で広告宣伝の多くは反社会的と考えられよう。 儲けることを目的としたこれらの行動に異議を唱えることは、資本主義経済の社会で正当な発想として受け入れられ難く、株主私益を最優先した株式会社は成立しなくなる。そして企業は働く人の共同所有(ワーカーズコープなど)へと変えていく。 働き方改革 生活できる所得が確保できるよう、雇用制度を改めていく。 持続的業務について、働く者が主体的に望まない限りは、非正規雇用としない。非正規雇用にあっても付加的給付(フリンジベネフィット)を含めて同一労働同一賃金とする。 また、社会的生活ができる時間を確保できるよう働く時間を抑制していく。 今後、社会全体しては、財サービスの生産・消費の拡大を図らず、所得の分け合いを工夫していく。 資本主義市場経済から脱却すべきと認識する人が増えてきてきており、間違いのない判断と考えられる。このため、使用価値の有無に拘わらず交換価値を求める株式会社制度は早晩廃止し、働く者が共同所有する企業へと変換していく。 (Mar.20,2021) |