メタボリックシンドローム

 

<<メタボリックシンドロームって?>>
メタボリック=代謝、シンドローム=症候群という意味ですが、日本語に訳すと「内臓脂肪症候群」といいます。具体的には、内臓脂肪が原因となって高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの生活習慣病がいくつか重なった状態のことを言います。高血圧、高脂血症、糖尿病など、ひとつひとつの病気はそれほど悪くなく、症状もほとんどないため、つい軽症だと判断しがちですが、そのままにしておくと、いつか突然心筋梗塞や脳卒中で倒れるという事態が起こりうるのです。


<<メタボリックシンドロームの原因は?>>
高血圧や高脂血症、糖尿病などが重なると動脈硬化がとても早く進行します。これはこれらの病気が偶然重なるのではなく、理由があって重なるということが分かってきました。その原因が「内臓脂肪」だったのです。では内臓脂肪ってなんでしょう?皮下脂肪とはどう違うのか、簡単に説明します。


<<肥満には二つのタイプがあります>>
食事によって得られたエネルギーが、体を動かして消費するカロリーより多いと、余分なエネルギーは脂肪として蓄えられます。脂肪はたまる場所によって内臓脂肪と皮下脂肪に分けられます。内臓脂肪はお腹の中の内臓の周りにたまる脂肪です。内臓脂肪型肥満は男性に多く、お腹ばかりが出てきて、出ている割には脂肪が手でつかみにくいという、いわゆる上半身型の肥満です。これに対し、皮下脂肪は全身にたまりますが、お尻や足につきやすく、下半身型の肥満となり、女性によく見られます。


<<内臓脂肪と動脈硬化との関係>>
これらの脂肪はエネルギーを蓄えるだけでなく、いろいろな物質(アディポサイトカイン)を出していることが分かりました。なかでも内臓脂肪は体にとって有害な物質(悪玉)を産生しているのです。その有害な物質とは血液を固まりやすくしたり、インスリンというホルモンの働きを邪魔したりして血糖や血圧を上げたりするのです。反面、動脈硬化を防ぐ良い物質(善玉)はあまり産生されなくなってしまいます。このため、動脈硬化が進みやすくなるのです。


<<なぜ、メタボリックシンドロームになるの?>>
平日は夜遅くまで仕事、仕事帰りにちょっと一杯もしくは晩酌、そしてそのまま就寝。たまの休日も家でゴロゴロ、という生活はしていませんか?女性の方も、家事はみんな電化製品がやってくれて体を動かすことがほとんどない、午前と午後にそれぞれ間食・・・、若い頃はたくさん食べても太らなかったのに、最近、お腹が気になってきて、ということはないでしょうか。
近年、車や電化製品など文明の発達により、歩くことや体を動かすことがぐっと減りました。意識して体を動かさなければ完全に運動不足になる時代です。また、食事の欧米化に伴い、日本人の摂取カロリーは一気に増えてきました。つまり、摂取カロリーはどんどん増え、消費カロリーは減る一方なのです。摂取カロリーが消費カロリーより上回れば、脂肪がたまるのは当然のことです。このような生活を続けているとメタボリックシンドロームへとぐんと加速します。食べ過ぎ&運動不足、これがメタボの犯人です。


<<メタボリックシンドロームの診断基準>>
必須項目 内臓脂肪(ウエストサイズが男性85cm以上、女性90cm以上)
  +
2項目以上 以下の3項目のうち2項目
@中性脂肪(TG) 150mg/dl 以上 かつ/または HDL 40mg/dl 以下
  A収縮期血圧130mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧85mmHg以上
 B空腹時血糖 110mg/dl以上
厳密に内臓脂肪の量を調べることはできません。CT検査を受けるのがよいのですが、費用も時間もかかります。もっと簡単に内臓脂肪を予測することができないか検討したところ、腹囲が妥当だと分かりました。正しい測り方は、立ったまま、軽く息を吐き、おへその位置のウエスト周囲径を測ってください。これはスカートやズボンのサイズとは違います。(通常、スカートやズボンのサイズより大きい値となります)


<<メタボリックシンドロームと言われたら>>
「1に食事、2に運動、3に禁煙、最後にクスリ」
メタボリックシンドロームと診断されたら、動脈硬化の進行を抑えるための対策が必要です。それには内臓脂肪を減らすことが一番です。内臓脂肪が減れば他の検査値の異常も正常になります。「皮下脂肪は定期貯金、内臓脂肪は普通貯金」と考えてください。これは、内臓脂肪は皮下脂肪に比べ不摂生により溜まりやすく、運動や食事で消費しやすいという意味です。つまり内臓脂肪型肥満は解消しやすい肥満だと言えるのです。運動したり、こまめに体を動かすようにして、内臓脂肪の消費に取り組みましょう。週末は散歩をする、買い物は自転車で行く、というように普段の生活の中でできるだけ体を動かす機会を作ってください。また、腹八分目、寝る2時間前は食べない、大食い早食いは避ける、油ものは少なく野菜を多くたべる、といった「食の基本」をしっかり続けていきましょう。一人ではうまくいかない場合、どうしたらよいか分からない場合、ご相談にのりますので来院下さい。

 



>>>> Home

 

 


  Ejiri Medical Clinic. All Rights Reserved. 複製・無断転載を禁ずる